一番好きだったのは、”君”か?”写真”か?
- サクライユウコ
- 2018年1月10日
- 読了時間: 6分
4pointsを始めたのは2006年の夏頃で、初ライブは9月。
大学1年生だった恥部をドラムに、「リーダーが歌うためのバンド」をつくった。
当時サークルでは、オリジナルのバンドをやっている人は指折り数えるほどで、
札幌のライブハウスに出入りしている人ですら
半分いたのか、どうだったんだろうか。
ライブハウスではずいぶんとたくさんの人たちと出会って、
身に余る、楽しい時間を過ごさせてもらっている。
初めてバンドを組んだのは高校生の時で、地元の友達と、
メンバー募集で出会った元ギタリストのドラマーと
4人でコピーバンドをやっていた。
皆それぞれのパートが初心者で、気軽に・楽しく。
2度ほどライブもした。(どちらも、以来そこではライブをしていない。)
4人のうち半分が未だにバンドを続けているんだなと思うと感慨深い。
さて、2017年もRSRに行くことができた。
大学時代に2度行って、バンドを始めてからは遠のいていたが、
結婚してから夫の友人たちに混ぜてもらって今年で4年目。
雨もあってコンディションは悪かったが、
なんだかんだトリのバンドまで楽しんだ。
足腰の痛みが限界だったけど、
今年の満足感は、いつもとは少し違った。
もう、生で聴くことなんてかなわないと思っていた曲が聴けたのだ。
そんなわけで、私の”はじめてのヒーロー”の話。
私の最初の大衆音楽の記憶は、
UNICORNの『大迷惑』の歌詞を耳で聞き取るため
カセットテープを再生しては停め、戻し、再生しては停めるというものだ。
姉のカセットデッキで、おそらく小学1年生くらいだと思う。
『大迷惑』は89年リリースだけど、この記憶は92年くらいか。
年の離れた私の兄も姉もUNICORNが大好きで、必然的に私の耳にも入っていたようだった。
ゲームもしない、テレビも見ない、
ただピアノを習って(不真面目な生徒だった)スイミングに行く。
そんな小学生期だったが、
姉の影響でUNICORNやBjorkが大好きで、
電気グルーヴやTHE YELLOW MONKEY、小沢健二など
ずいぶん聴いていたように思う。
どれもこれも、今でも大好きだ。
UNICORNは西川くんが脱退したのが93年2月。
UNICORNの解散がその7ヶ月後。
なのでリアルタイムリスナーというわけではほぼない。
が、部屋ではいつもUNICORNがかかっていたし、
よくライブビデオ(VHS。懐かしい。)も観ていたし、
歌うのが大好きだった私はそれこそ始終歌っていたように思う。
自分でテープを作って自分のコンポで音楽を聴き始めた頃には
すでに奥田民生がソロで活動を始めて、
名曲がガンガンリリースされていたが、
私の興味はほとんどUNICORNから動かなかった。
しばらく聴いていると、
①ボーカルだと思っていた民生が歌わない曲がある。
→ボーカルによって曲が変わる!全員歌える!
②曲調がずいぶん変わる。
→全員が曲を作り、全員が詞を書いている!
③聴けば聴くほど新しいフレーズを耳がキャッチする。
→何なんだ!この人たち!全員好き!
ということになっていったのだ。
バンドメンバーのことがもれなく全員好きだ、とおもう
ヒーローのようなバンドはあまりいない。
私は自分がバンドをやるまで、
ボーカルの歌から入って、ベースやキーボードにいって、
ドラムが大好きになって、最後にギターが好きになることが多かった。
(夫やリーダーに「君はギターに興味がなさすぎる」とよく怒られるが
私としては自分がギターも弾くからこそ他のパートが気になるのだ。
・・・違いますか。言い訳ですか。そうですか。すみません。)
UNICORNはまさにこの通りだった。
民生のボーカルと一緒に歌って、EBIくんのベースラインに心を奪われ、
西川くんのドラムが身体を動かしてくれて、
てっしーのギターに気持ちを委ねる。
さて、では阿部くんはいつ好きになったのかというと、
これがほぼ最初から、だ。
民生の作る曲は名曲揃いでやっぱりすごい。
『働く男』がとても好き。他にも大好きな曲はたくさんある。
再結成後も『エコー』や『ひまわり』が大好きだ。
でも、私が心の底から愛してやまないのが、阿部くんが作る曲だ。
なかでも『開店休業』『逆光』『月のワーグナー』は特別。
和音の展開が気持ち良いとき、目を閉じて深呼吸したくなる癖は
きっとここから。
情景を音で見せてくれる音楽を知った。
メロディが美しくてピアノで音を拾ったりもした。
ミニマムな詞の世界で、言葉を選んで関係を表現していて、
阿部くんの作る曲は、とても魅力的だ。
そういえば『逆光』の詞に、なぜかずっと引っ掛かりがある。
「すべてが 歪んで/一番好きだった君の写真が/笑いかけてる」
一番好きだったのは、
単純に”君”なのか、
自分もしくは第三者が撮った”君の映った写真”の中で一番好きだった”写真”なのか、
それとも”君が撮った写真”の中で一番好きだった”写真”なのか、
どれだろう、とずーっと考えていた。
(何にせよ”君”のことが一番好きだったことに変わりないか、と一旦決着した)
君の存在そのものが好きなのか、君を捉えたものが好きなのか、
君の作り出したものが好きなのか。
同じようで、ずいぶん違うように思うのだ。とっても大事。
私は阿部くんが作り出したものが大好きだ。
さて、UNICORNは93年に解散していたので、
生で体感することはできないものと諦めていたのだが、
再結成が発表され、何が何でもライブに行かなければ!と
私も姉も死に物狂いでチケットを入手し、
私は”はじめてのヒーロー”の音楽を浴びた。
訪れることは叶わないと思っていたUNICORNのライブに、
大人になって足を運ぶことができるとは、まったく幸せだ。
夢のような時間だった。
その後のライブだって、
西川くんがラクナ梗塞でRSRに来られなかった年もあって、
5人が揃うことだけで奇跡的。(何せ皆50歳を超えているのだ)
何を聴けても幸せだし、期待もしない。(曲目、という意味で)
今年のRSRは無事に観られるなら、とそれだけを胸に。
夫はZAZEN BOYSを見に行ったけれど、
私は夫の友人と、UNICORNを観に行った。
同時期の夏フェスのセットリストをチェックしたその友人が、
「他では『開店休業』をやったらしい」と行きの車内で言った。
期待してはいけない、と思いつつ
やはり待ってしまい(汗)
『すばらしい日々』のイントロをギター(阿部くん)がミスるとか
テレ朝の音楽番組内で即興で作った曲を聴けたりとか
内容はとっても楽しかったけれど、
『開店休業』が聴けるかもしれない気持ちが逸ってしまう。
ライブの最後にあのキーボードのイントロが鳴った時
気持ちが高揚してたまらなかった。
再結成のきっかけからして、昔の曲を引っ張り出すことは
あまりないんじゃないかと思っていたから、
(もちろん代表曲たちは聴けるのだろうけれど)
余韻が、強く残って。
「あの頃大好きだったヒーローは、今またステージに立ち続けている」
ということが、心から嬉しかった。
やっぱり今でも、大好きなヒーローに変わりない。
バンドは今12年目を走っていて、
同期や先輩のバンドがどんどんいなくなっていく。
私自身生活の拠点が変わって、思うようにいかないことも増えた。
今後どうなるかもわからない。
でも、やれるうちは一生懸命やろう。
考え得る”やりたい”はやりつくしてから離れたい。
けどたとえ休んだって、また集まれることを教えてもらったから
潔さを持って、4pointsを動かしていきたい。
誰かのヒーローになれるように。
次回は、18時半の忘れたくない色とりどりについて。
では、また。
『一番好きだったのは、”君”か?”写真”か?』UNICORNについて
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