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空席の、僕のとなりは君の席

  • サクライユウコ
  • 2018年8月29日
  • 読了時間: 5分

「ずっと言おうかどうしようかと思ってたんだけど・・・

ワイパー止まらないけど、壊れたの?」

今でも忘れられない恥ずかしいエピソードだ。

雨の日は別の意味で、少し緊張する。

大学時代、どうしても北見に行く用事があって、

運転の出来る人を増やしたくて、

予定を調整して5週間ほどで免許を取得した。

たいてい教習所では担当の教官がひとりつくもので、

その人とスケジュールをつくって実車訓練をしていくが、

私は担当教官が誰だったのか全く覚えていない。

授業の合間を縫って教習所へ通い、

学科も取りこぼしなく、実車はキャンセル待ちを駆使して

ガンガンガンガン単位を取っていった。

毎回教官が違うから、担当教官が誰かなんて

覚える余地もなかったのだ。

そんなだから教習中は仮免試験のときにしか

教官以外の人を乗せたことはなく、

たいていが2~3人で臨む高速道路での教習も

私1人と教官のみで挑み、くたくたになって帰ってきたのだった。

終盤で、教官の手違いにより1時間無駄になったことは

未だに覚えているほど大焦りしたが

(無料で1時間多く乗れたんだからよかったよね?と言われて

 カチンと来たことを覚えている)

無事免許取得は出発に間に合って

北見へ行く戦力として数えてもらった。

隣には運転のベテランの後輩が乗っていて、

後ろにはサークル員たち。

遠出に少しだけ貢献できて、いい思い出だ。

実家の車は当時マニュアル車で、

(母がAT車なんて運転できない!とAT車を拒否)

そのおかげもあってある程度経験を積めた。

サークルのキャンプに車を出して、

わいわいみんなで向かったことも覚えているし

思いのほか疲れていたため、キャンプ会場に着いた直後、

「もう車は動かさない」と高らかに宣言し、

同期と後輩と3人でビールの飲みくらべ対決をしたことも、

なかなかにいい思い出だ。

大学在学中は生協でレンタカーを安く借りられたので

比較的よく遊んだ。

空いている人をつかまえて無駄に襟裳岬や苫小牧、室蘭、

ニセコ、倶知安など大いに走り回った。

サークル員のいるキャラバンを追って、士別に行ったりもした。

普段乗らないのに乗るときは長距離ドライブになるので、

街中を通るのが嫌で、駐車も好きじゃなかった。

だけど気楽なドライブは本当に楽しかった。

卒業してから一番緊張したのが

冒頭の恥ずかしい体験をしたときだ。

札幌から室蘭へ車を出して、ライブを見に行く途中だった。

同乗していたのは当時知り合って間もない

室工大出身の先輩と後輩と、彼らにはおなじみのお客さんだ。

隣には後輩が、後ろに先輩とお客さんが乗っていた。

3人とも地元は札幌で2人は室蘭に進学した人、

1人は札幌~室蘭間をこれでもかと往復しなれた人だったので

車を出す関係とはいえ私が運転するのは気が引けたが

自分が行きたいと言い出したことなので

小雨のなか、ハンドルを握ったのだ。

(顔見知りで話したことはある、程度だったので

待ち合わせの駅前では最高潮に緊張していた!)

音楽は後輩に任せ、集中して運転していたが

降ったりやんだりの雨にワイパーの操作がおざなりになり

先輩に冒頭の指摘を(何度も!)受けたのだ。

運転の緊張と車内のアウェー感に飲み込まれついうっかり。

大変に恥ずかしい思いをした。

「ワイパー止まらない事件」。懐かしい。

それからはワイパーを動かすたびに

なんとなく意識してしまい、緊張感が走る。

もうさすがに彼らを乗せても大丈夫だと思う。

出ないといいな、うっかり。

結婚する前は、5月になるといつもむしゃくしゃして

ひとりでレンタカーを借りて夜の道東をひたすらに車を走らせ

納沙布岬に日の出を見に行くことが何年か続いた。

(誕生月を前にして、5月は毎年どうも落ち着かなかったのだ)

根室は生まれた土地だが、1年もせずに札幌に越していて、

物心ついてからは1度しか行ったことのない場所だったので

正直思い出はほぼないのだが、

納沙布岬から眺める日の出と、北方領土につづく海を

時間をかけて見ていると

ごちゃごちゃと考えていたことが

まぁいっか、くらいには軽くなっていった。

釧路では何十頭いるんだろうという鹿に出会う。

(支笏湖にいるのより体格がいい)

緊張感はあったが、ひとりドライブは大切な時間だった。

結婚する年の5月には、母を連れて納沙布岬まで走った。

それからは、ひとりで根室に行くことはなくなって、

5月のもやもやも、それほど気にならない。

夫とも1度一緒に根室に行って、変な思い出をたくさん作ってきた。

折をみてまた行きたいと思っている。

自分で運転するときは、長距離ドライブばかりだったが、

昨年通勤用に車を買って、毎日乗っている。

それこそセカンドカーで通勤用で、

ある程度乗れさえすればいいか、と思っていたのだが

夫の主張でマニュアル車を購入した。

マニュアル車は楽しい。

毎日通勤に使うのは私だし、

点検に行っても名義が夫なのであれ?という顔をされる。

本当にマニュアル車は楽しい。

とっても気に入っているので、

大事に乗ろうと思っている。

そういえば母はすっかりAT車を乗り回していて

あんなに頑なだったのが嘘みたいだ。

年齢的にも、今乗っている車が母の最期の車になるだろう。

車の運転は楽しい。

けれど、いろいろと注意しなければ。

もう深夜ドライブはキツイお年頃なので

運転計画は無理なく立てなくてはと思っている。

(身に染みた)

みなさんも安全運転でお願いします。

次回は、「赤と黒と、青があるとなお嬉しい一体感と手放せないもの」について。

では、また。

『空席の、僕のとなりは君の席』車を運転することについて


 
 
 

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