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主役が僕じゃなくっても

  • サクライユウコ
  • 2018年7月25日
  • 読了時間: 4分

ステージに立っている人と、目があったことがありますか?

バンドでもいい。お芝居でもいい。

ステージから何か届けようとしている人と、

目があったことがありますか?

目があったことがあるとしたら、

一瞬の緊張感は、あなたにだけ走ったものだと思いますか?

というわけで、

ステージとフロアの間のやり取りについて。

私はライブ鑑賞中、手拍子を求められたり、

コールアンドレスポンスを求められたりすることが苦手だ。

気持ちが盛り上がれば拍手もするし、

素晴らしいステージだったらアンコールだってする。

スカを見れば踊りもするし、

好きなバンドや歌は一緒に歌うことだってある。

けれど、自分の意図しないところで

参加者にさせられてしまうのは怖い。

もちろん参加したい人は大いに参加してほしい。

それによってフロアの一体感も生まれるし、

ステージ上のアーティストもテンションがあがるだろう。

ただ、強要しないでくれ、と思う。

やりとりをしたい人が、したいようにやったらいいのだ。

4pointsのインプロ・ダイアローグは

インプロビゼーション=即興的な

ダイアローグ=会話

をあわせた造語だ。

詞を書くにあたり、どうしても演劇をモチーフにしたくて

完成までにかなり集中して時間を費やした。

当時読んでいた小説もあいまって、

ようやく完成した時、今までにない達成感を感じた。

諦めのようなものを抱き、惰性で舞台にたつ役者を

ガラスのような目をした観客が眺めている。

そのうち役者の演技に観客が目を輝かせ、

笑顔の花が開く瞬間をふと目にとめた役者が、

それをきっかけに息を吹き返す、という

舞台と観客席のリアルタイムのやり取りを描いた。

いつも通りやっているつもりでも、現状維持は難しい。

疑問や不安は表現につきまとうが、その質も不安定になる。

普段前向きな人でも、ふとしたきっかけで俯いたり

後ろを振り返ったりする。

それでも舞台に立たなくてはならない。

それでもお客さんを前に、表現しなくてはならない。

そしてそんな状況でも、ある程度こなしてしまえるからやっかいだ。

場数を踏むことは、経験値を積むことだ。

急なトラブルにうまく対応したり、

自分の中の不安とうまく付き合うことができるようになる。

実際にステージに立って、克服できることは多々あって

正面からぶつかってみれば、意外とあっさりと靄を振り払うことができることもある。

自分自身と戦うことは、必要不可欠だ。

ただ、お客さんの反応に救われることがある。

やっていて、なんだかうまくいかなくてつらくて、

打開策が見つからなかったり

きっかけが欲しいとき、

ふとフロアのお客さんを見る。

私の場合、体を揺らす人や、熱心にギタリストを見つめている人や

後ろから覗くように眺めている人が見えて

なんだか嬉しくなる。

ステージで演奏しているメンバーを見て

気持ちを落ち着けたり盛り上げたりすることもある。

そうやって演奏していると、

フロアに笑顔が見えたりして、

私も嬉しい。

そういうやりとりは、好きだ。

迷っていても、悩んでいても、新しいチャレンジの最中でも、

お客さんがステージを見ている。

自分の思った通りに拾ってくれたわけではないかもしれない、

自分ではない誰かの仕草にもたらされた笑顔かもしれない、

けれど、お客さんの感情が動いたら

演者はとても嬉しい。

笑顔なら、なおさら嬉しいと思う。

明日の活力になるなら、最高だ。

主役が自分じゃなくたって、

ギターソロは見てほしいし、

セリフのない場面の演技だって見てほしいし、

音がやむまで、幕が下りるまで、

表現を拾ってほしいと思う。

それで感情が動くなら、

出来るなら、良い方向へ。

そのために、みんな頑張ってる。

先日、あるテレビ番組で中学の時から大好きな役者さんが、

「公演が長くなってくると、“ここでウケるはず”とか言って“笑い待ち”をしたり

 感動させるシーンで“どうだ!!”ってお客さんに向けて芝居をしてしまうことがあるけど

 それって最低なんだよね。目の前の登場人物を相手に芝居をしないとさ。

 でも、やりがちなんだよね。やらないように気を付けてるんだけど。」と話した。

音楽のライブも演劇の舞台も、観客がいなければ興行として成立しない。

が、演劇は特に、目の前のものと本気で向き合っているさまを

お客さんに観てもらうものだ。

それによって観客の感情が動くものだ。音楽とちょっと違う。

音楽も演劇も自分自身と向き合うことは必要不可欠だ。

いいところは余すことなく出し切りたい。

反面、弱いところも、嫌なところも、見て見ぬふりは出来ない。

だから、緊張感は取り払わない。

だけど、客席に笑顔が見られたら、

たったそれだけで心が喜ぶ。

だからやめられない。

いつだってそれが、舞台に立ち続けることの活力になる。

フロアに足を留めてくれるお客様。いつもありがとうございます。

ライブを見てくれること、とても幸せに感じています。

次回は、「生活における音楽や祈り、からだ全体で示す“大好き”」について。

では、また。

『主役が僕じゃなくっても』4points・インプロ・ダイアローグについて


 
 
 

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