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空っぽの心を浸してかきまわして

  • 2018年8月8日
  • 読了時間: 5分

映画と音楽は切り離せないものだ。

特に作中に歌い手(バンド含む)が出演するものだと、

楽曲の良し悪しに映画の良し悪しも左右される。

先週挙げた2作も音楽が大好きだ。

その他にも、映画をみて気に入ったものは

サウンド・トラックも手に入れるようにしている。

映画に限らずドラマでもアニメでもサントラは楽しい。

(私立探偵濱マイクのサントラやアニメ血界戦線1、2の

サントラは特に、現在進行形で車で聞き続けている)

また、映画内のアーティストがサントラとは別に

CDを出しているときは、そちらも手に入れる。

そのアルバムは、びっくりするくらいかっこいい。

大学の時に先輩に薦められて初めて観た

「Hedwig and the Angry Inch」は

高校の時に先にアーティストCDを聞いていたもので

CDを友人に薦められたとき、

それこそ狂ったようにリピートして聞いていた。

びっくりするほど馴染んで、単純にかっこいいと思っていた。

映画で描かれたアーティストのCDだとは思っていなかったのだ。

それが大学1年の時に映画を見て、すごい内容で、

それが突拍子もないような、

いや、手を伸ばせばすぐそこにあるような

相反するいろんな距離からアプローチしてきて、

あぁこれはシンプルに「愛」についての映画なんだなぁ、と思った。

CDには映画のなかでキーになる、同じメロディの曲を

主人公と元恋人がそれぞれ歌っているものが収録されている。

これがどちらも素晴らしくて、哀しくて、愛おしく感じられるのだ。

高校2年のとき、

数は少ないのにとても存在感のある同級生の男子たちのなかで

家も比較的近く、よく遊んでいた子がいた。

私は高校2年から彼に教えてもらった洋楽を

一つずつ聞き進めていて

邦楽ばかりだった私の中に少しずつ

洋楽を聞くことが馴染んできていた。

ミクスチャー全般は彼の趣味だし、

当時すでに流行っていたRADIOHEADやらなにやらを教えてくれたのも彼だ。

ラジオから好みの音楽をひっぱってMDに入れてしまうので

前後のDJのトークも入ってしまっていたが、

洋楽だけでなく邦楽も入ったMDを借り、

EGO-WRAPPIN'やくるりなども、そういえば彼から教わった。

彼はクラスではとびきり明るく破天荒に見えるが、根は純粋で真面目な人で、

大学に進学してからも彼が大阪から帰ってきたときは何度か再会した。

彼が大阪に行ったのは、映画が好きだったからだ。

小津安二郎が大好きで、岩井俊二が大好きで

よく映画を見せてもらった。

(花とアリスは初日の朝一の回を一緒に見に行ったほどだ。

前売り券を買って!)

岩井俊二作品では、最近アニメでリメイクされた

「打ち上げ花火 下から見るか?横から見るか?」や

「スワロウテイル」が有名かと思われるが、

私が薦められて初めて見たのは「リリィ・シュシュのすべて」だった。

初見は高校2年生のときだった。

真っ暗な部屋でひとりで見たが、ただただ「痛み」を感じ、

自分の「中学2年生」の頃を思い出して

なんとなく背筋が寒くなった。

(思い出したくないが忘れてはいけないことが誰にでもあるはずだ)

どこで違えたのかどんどん状況が悪くなっていくリアルの中で

パソコン上に救いを求め、苦しい自分を隠していく。

リアルな人間関係はさらに悪い方へ、悪い方へ向かうけれど

電波は自我を保たせてくれる。

(匿名の気楽さは今も変わらない)

そこに流れるリリィ・シュシュの音楽は

包み込むようでいて孤独で、そばにいるようで突き放されている。

聴く人それぞれがひたひたに液体の入った円柱のプールに入れられて

いろんな色に変わる空間に、決してお互いに触れることのない距離で

ひとりでずっと目を閉じているような、そんな感じ。

青い空や雲の白、木々の緑などは目まぐるしく映るのに

手に取ることは出来ない。孤独のにおい。

限りなく個人的な歌を歌っているように感じた。

結局引き金はひかれてしまった。中学生の爆発力は、侮れない。

何度も見返して、リリィ・シュシュの音楽に浸かっていった。

WEB小説を製本した小説も買ったし、サントラも買った。

(ドビュッシーが大好きなのだ私は)

リリィ・シュシュのCDも飽きるほど聞いた。

私も音楽にひたひたに浸かって、ストーリーに心をかき回された。

リリィ・シュシュは誰が演じて(歌って)いるのかと調べたら

当時無名で「salyu」という女性が歌を入れていると知った。

そこから先、大学時代にsalyuが音楽番組で見られるようになって嬉しかったが

もちろんリリィ・シュシュとは違うので、

満たされたかと言えばそうは言えないけれど

salyu×salyuは大好きで、ライジングでのステージは圧巻だった。

今も変わらず好きだ。

次に薦められたのは「スワロウテイル」だ。

「Swallowtail Butterfly~あいのうた」は有名すぎる名曲で

最近もCMソングになっているし

言わずもがな「My Way」のカバーは素晴らしい。

私は小学生の頃からCHARAをよく聞いていたので

演技をするCHARAってすごく新鮮だったし、

伊藤歩が出演しているのも楽しみだったしで

リリィ・シュシュのときとは違う”色”と”におい”がする

「円都」が大好きだった。

「スワロウテイル」も小説を買って読んで、

岩井俊二の作る世界にどっぷり浸かった。

YEN TOWN BANDの「Montage」は

上り調子の勢いも、心もとない寂しさも、

愛情の強さも、何もかも映し出して

全部さらけ出して生きる円都での生活を

ひっつかんでは投げ、ひっつかんでは突っ込んでいるような、

そんなアルバムだ。

たくさんのことを諦めている哀しさのなかに、

何をしたって生きていかなくてはいけない強さがあって

とてもかっこいい。

ちなみに、

リアルタイムで劇場で観ることができた「花とアリス」には

一瞬だけど伊藤歩が出演していてとっても美しいし、

鈴木杏と蒼井優、郭智博のトライアングルは絶妙のバランスだ。

先輩役の坂本真もとってもいい。

”恋心vs親友”と”落語”と”高校生”は、

自分の力でないものがぽてぽてと作用して

意図したものとは違う威力で貫かれてしまう。

鈴木杏の泣き顔は、とってもチャーミングだ。

花とアリスのメインテーマだって、今でも心に残っている。

かわいらしく儚い高校生たちのような、そんな曲だ。

いろいろをあきらめて空っぽだった高校2年生の私に

また動き出す力をくれたのは岩井俊二の映画と

そこで歌う2人の歌姫だ。

出会わせてくれたまーちゃんにはとても感謝している。

相変わらずの連絡無精で申し訳ないけれど、

まーちゃん、元気かな?

次回は、「○○○○王に、オレはなる!」について。

では、また。

『空っぽの心を浸してかきまわして』リリィとグリコの音楽のにおいについて


 
 
 

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